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その店に近付くにつれて胸の鼓動が高鳴り、心臓から規則正しく送り出される血流が、耳の奥の方で脈打つのが、今では少し心地よい。 緊張していた。 街路灯が煌々と照らし出す光景が、一歩そのビルの玄関に足を踏み入れたとたんに、暗幕を下ろしたように真っ暗な闇が、一瞬にして小山を包み込んだ。 何度も確認した筈だったが、その先に続く階段の果てに、あの桃源郷のような場所があるとは、未だに信じられない思いを小山は抱いていた。 高校を卒業して入管に入ってから三年が経とうとしているが、あのような飲食店舗に入ったのは初めてのことだった。 続く |
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