|
在留特別許可に関する法務大臣の裁量権について 入国管理局は在留特別許可について、法務大臣の広範な裁量が認められており、その根拠として出入国管理及び難民認定法(以下入管法と記載)第50条1項柱書き「法務大臣は前条第三項の裁決に当たって、異議の申し出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる」を引用し、更に在留を特別に許可するに当たっては、入管法第50条1項4号に「特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」と規定するのみであると主張している。 しかし、入管法第50条1項に規定されている在留を特別に許可できる者には、1号「永住許可を受けているとき」、2号「かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき」、3号「人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき」、そして国側代理人が唯一主張する4号「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」の4項目が規定されているのである。 この4項目については、第3号の人身取引等による被害者救済の項目を除けば、そのいずれもが日本人と同等の待遇、処遇を受けていた者に対するもので、入国管理局が公表している在留特別許可を受けた事例を見ても、法務大臣が裁決に当たって、全ての意味において自由な裁量行為を行っているのではなく、この4項目に係る者について、いわゆる恩恵的に在留特別許可を与えているものである。 そもそも退去強制手続きは、入管法違反者の違反事実を立証し、退去強制する目的で、違反調査、違反審査、口頭審理さらには異議の申し出に対する法務大臣の裁決が為されるものであり、その間の取調べにおいては、容疑者とされる申立人が退去強制事由のいずれかに該当するものであることを主眼に進められていることから、法務大臣の裁決に当たって、入管法第50条第1項第4号に該当する事情を、積極的に調べる乃至は事情聴取する仕組みにはなっていないものである。 だが、第1項柱書にあるように、異議の申し出に理由がないと認める場合であっても、4項目の規定のいずれかに該当するものであるときは、在留を特別に許可することができるという入管法の趣旨は、如何に悪性が高く、退去強制事由に該当することが明らかな者であっても、この4項目に該当するときは、積極的にその事情や身分関係に留意し、在留を特別に許可すべきであると規定しているものであると考える。 申立人は、平成3年8月4日、成田空港から在留資格「短期滞在」在留期間「90日」を許可されて入国、その後、在留資格「日本人配偶者」に変更許可され、在留期間「1年」を数回更新した後、平成6年9月12日在留資格「日本人配偶者」在留期間「3年」に伸長許可され、平成9年4月14日、在留資格「永住者」として在留する許可を得ている。 この16年の間、夫である日本人との間に、一男一女をもうけ、家庭の主婦として、平穏な生活を続けてきているものであり、それは平成9年に入管から「永住者」として在留することを認められていることからも明らかである。 申立人は、退去強制事由に該当するものであることを認めるものであるが、「永住者」であり、かつ日本人と婚姻の上、日本人の実子を養育する者であるところから、法務大臣が特別に在留を許可することができるものとする4項目のうち、実に2項目に該当すると考えられるところ、それらに斟酌することなく、退去強制という選択をした法務大臣の裁決は、誤りであると言わざるを得ない。 |
| << 前記事(2007/11/08) | トップへ | 後記事(2007/11/13)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2007/11/08) | トップへ | 後記事(2007/11/13)>> |