過去の退去強制事実が今になって露見した事案(9)

 外国人は帰国して両親に結婚の相談をするため、会社に休暇を貰い、入国管理局で在入国許可を取得した。
 そうして外国人は、これまで一度も感じたことの無い満ち足りた気持ちで、花嫁を決める旅に出発した。まさかこれが間違いの第一歩になろうとは思いもせずに・・・。
 成田での出国審査でも何事も無かった外国人は、母国に戻り久しぶりの両親との再会を楽しみ、結婚する相手を探してくれるように話をした。
 日本で成功している息子の結婚相手だからと、直ぐに決めるようなことを両親は考えなかったので、外国人は良い相手が見つかったら再び帰国することとして、日本に向かうのだった。
 母国を出発し、成田空港に到着した外国人は、九年前とは違い何も恐れるものもなく、入国が認められるのが当然だとでもいうような堂々とした態度で上陸審査の列に並んだ。
 旅券を提出して再入国許可による入国が認められるだけだと思っていた外国人に、入国審査官は両手の示指(人差し指)を小さな箱状のものの上に置くように言うのだった。
 過去に退去強制された者の指紋と照合するバイオ審査だった。外国人は初めての経験にも、何故か動じることは無かった。
 そうして過去の不法入国事案が発覚し別室へと誘導されているときも、何が起こったのか分からず夢遊病者のように言われるままに付いて行くだけだった。

 続く

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