十四 逃走の果てに(7)

 報酬を与えるといった利害で結ばれた関係は、利益を与えることができなくなったその時に解消されるだけではなく、逆に裏切りや報復を生むことになる。
 海老川の鋭い視線の先に座っているのは、稲川という暴力団の準構成員だ。いや、準構成員だったというのが正確で正しい稲川の今の身分だ。
「殺したのは中国人の劉真栄だと言うんだな。殺害されて荒川の河川敷に埋めるのを手伝っただけだと。
 だが、その劉真栄を殺したのはお前なんだろう」
「いや、あれは陳華平が殺されそうになったのを助けただけだ。勢い余って死んでしまったんだ」
「それまでの日本人の殺害は、全て劉真栄が行ったと言うんだな。死んだ人間に全ておっ被せるという訳だ」
「それが本当のことなんだから、しょうがないだろう」

 続く

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