十四 逃走の果てに(8)

 荒川の河川敷で大量に発見された死体について、身元が判明したものは二体だけだった。
 その一体は中国人の劉真栄であることは分かっていた。
 だが、日本人であると思われるその他の死体は、一人を除いて何処の誰かも分からないままであった。
 日本人と思われる者達を殺害したのは、陳華平とその仲間である劉真栄だと海老川たち警察は考えていたが、その証拠も見出だせないでいるままに、同所から劉真栄の遺体まで出てきたことで捜査は暗礁に乗り上げていた。
 そんなところへ稲川が自首して来たのだった。だが、稲川は日本人を殺害したのは劉真栄であり、仲間割れをして殺害されそうになった陳華平を救おうとして劉真栄を殺してしまったと言うのだ。
 そこまでは海老川の筋読み通りでもあったが、肝心の陳華平を欠いていては、いくら自首して来たとは言っても、それを鵜呑みには出来ないのだった。

 続く

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