十四 逃走の果てに(11)

 北浦和駅を降りた陳美蘭は周囲の目を気にすることなく、力強い足取りでそのビルに向かった。役所に行った筈の片岡がその後ろを付けていることにも気付かないでいた。
「私にもわからないよ。ホアホアが何処にいるのかだなんてね」
「ホアホアは昔の仲間にも追われていると言うじゃないの。先生とあのやくざ者しかホアホアは頼れない筈よ」
「それを言うならあんたの方が知っているんじゃないのか?離婚したと言っても、偽装離婚みたいなもんなんだから」
「何を言ってるの、先生がそんなんだから、私が酷い目にあったんじゃないの。早いとこ彼が捕まって送還されれば良いと思っているんだから、本当よ。変なこと言わないで下さい。流石に中国人の仲間に襲われて、死んでしまうようなことにだけはなって欲しくないだけよ」
「そうなんだ、そういうことにしておくか。でも、どこがあるかなあ?ああ、奴が大事にしていたものがあっただろう。あんたがお守り袋を作ってやった、あれだよ。もしかするとあそこかも知れないな。あそこで奴は生まれ変わったんだからな」

 続く

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