十四 逃走の果てに(13)

 広大な中国であれば何処かに身を潜めながら、起死回生の機会を伺うこともできるかもしれないが、狭い国土の日本では身を潜めることは難しかった。
 いくら日本名を名乗り日本旅券を取得したと言っても、見かけは日本人と変わらなかったとしても、やはり偽物は偽物でしかなかった。
 途中で仕入れてきた食料も底をつきかけていた。空腹を抱えながらホアホアはどの選択が最も良い選択をなるのかを考えていた。
 元の仲間たちに捕まれば、殺されることは確実だ。その先には何もない。富樫にしてみても、嘗てホアホアの窮地を救った頃ほどの信頼関係は残されていないし、メイランも君子もホアホアの力になってくれることは期待できないだろう。
 何故かホアホアは髭を蓄えた入管職員を思い出していた。あの人であれば話を聞いてくれるかも知れない。そうだ、あの入管職員に会いに行こう。その勇気を手に入れるために、日本で生まれ変わったこの場所に来ているのだから。
 廃墟に身を沈めたホアホアはお守りを握りしめながら、自分の心を叱咤激励するのだった。
 


(逃走の果てに 終わり)

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