十五 強制送還(3)

「場所がわからないのに、早く行かなければ消されてしまうと言われてもなあ」
「ホアホアが初めて捕まった場所だと言うんですが、その摘発記録が出て来ないんです。色々とやってみたのですが、これは地下倉庫の事件記録を漁らなければ駄目ですかね」
 大渕はそう言うが早いか、事件記録が収納されている地下倉庫に向かうのだった。
 ホアホアを早く捕まえてくれるようにと、メイランとその夫である片岡からの電話が花村のもとに寄せられていた。
 日本人に成り代わった中国人が、何人いるのか知れない事件の鍵を握るホアホアを捕まえたいのは、花村も県警の海老川も一緒だった。
 ホアホアと夫婦であったメイランが、あれほどまでに強硬に摘発を要望することに違和感を覚えてはいたが、花村はそこに違反者がいるのなら担々と事務的に摘発することだけを考えていた。
 事を為すに怒りや同情などの感情は不必要だと考えていた。
「花村班長、中止事件にホアホアの記録があったんですが、それが・・・。肝心の何処で摘発されたのかの記載がないんです」
 大渕は額の汗を拭おうともせずにそう報告すると、困惑した表情を花村に向けるのだった。

 続く

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