十五 強制送還(10)

 階段をゆっくりとした足取りで昇ってくる音を聞いて、ホアホアは最初に自分の居場所を突き止めたのが誰であるのかを悟った。
 最悪の状態であることを、ホアホアは自覚しなければならなかった。
 事ここに及んで自分の運の悪さを嘆くことは、今のホアホアの脳裏には浮かんではいない。
 逆に身内から沸々と湧いてくる力を感じていたのだった。
 ゆっくりとした足取りはホアホアの潜んだ漏斗状の機械の前で止まった。
 このまま隠れていてもこの困難な状況を打開できないと悟ったホアホアは足音の男が声を発する前に、プラスティックチップを振り払いながら男の前にその身を晒すことにした。
「ここに居ましたか・・・」
「林静・・・」
「すっとお世話になりましたが、これで終わりにしましょうよ。貴方の遣り方はもう誰も支持しなくなりました。貴方の時代は終わったのです」
 久しぶりに聞く中国語だった。


 続く

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