十五 強制送還(17)

 元は同じグループの中国人たちも、時を経て立場や回りの環境が変わるに連れて、利害が衝突してきたことが、内部分裂した理由だった。
 ホアホアは東京入管の収容房で一人考えに耽っていた。
 夜、日毎に寝付きが悪くなっている中で、やっと眠れたかと思うとそこに劉真栄の顔が浮かんできた。
 稲川の供述から事件の全容が解明されることはなかった。河川敷で発見された遺体の身元の判明にも至らないものが多く、推定や想像の域を出ないままに、死体遺棄事件として稲川の処分は終了していた。
 そして、その事件の黒幕として劉真栄が関わっていると結論付けられたのだった。
「死人に口なし」その言葉がホアホアの脳裏をかすめていた。
「それでお前は良いのか?」
「全てお前が望んでいた結果じゃないのか?」
「何だかんだ良いことを言ってはいたが、結局、全て俺のせいにして、お前は帰国するんだな」
 夜毎そう言って、劉真栄はホアホアを攻め立てていた。

 続く

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック