十五 強制送還(18)

「もう収容してから二週間も経っているじゃないか?まだ、調べることが必要なのか?」
 調査部門の首席入国警備官が花村にそう問い質した。収容場の収容可能人員が限られていることから、退去強制令書が発付された者は、速やかに送還してしまうのが通常だった。
 退去強制令書が出てからも、違反調査と称して花村は何度もホアホアを取り調べていたが、収容場を管理している部門や送還を実施する執行部門の警備官から、この先いつまで何の取り調べがあるのだという声が上がっていたのだった。
 取り調べることはもうなかったのだが、花村はどうしてもホアホアとメイランの関係が切れているとは思えず、ホアホアと結婚した片岡の目を覚まさせるような事実を掴まえたいと思っていたのだった。
「花村、お前思い出してみろよ。以前に韓国人の女から『嘘は砂漠の塩』と言って、人間には必要なものだと教えて貰ったじゃないか」
 九鬼がそう言うと、花村はその言葉が終わるのを待たずに、「俺はそんなものは必要ないと思っていますからね、片岡が騙されて利用されているだけなら、そのことを知らせてやりたいだけなんですよ。目が覚めて離婚するか、それでも婚姻関係を続けるかは片岡の勝手ですが、俺にはどうしてもメイランが片岡に惚れているとは思えないのです」

 続く

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