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日 時 |
六 内偵調査(10)
帳場にいる警備官は、質問書の内容を入国管理局のデータベースに照会を掛けて、時に補足したり、時には修正したりして該当するデータを引き出す作業に取り掛かっている。
「大林はまだ戻らないのか」
入管側の総指揮官である大戸課長補佐が、遅々として進まない人定作業に苛立っているのか、大林の姿がそこにないことが悪いのだと言わんばかりに、周りの者に大林警守長の所在を確認するように、先ほどから何度も指示していた。
そこに大林が、捕まえた女たちを誘導して会議室に入ってきた。
「遅いじゃないか、大林君ら
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2008/05/03 21:38 |
六 内偵調査(9)
店舗ごとに色分けされたプレートを胸につけたホステスたちが、入国警備官を相手に何事か大声で言い争っていた。
身分を証明するものを何一つ持っていない者と、不法入国や不法残留している者、そして観光を目的として上陸許可された者などの、働いてはいけない者たちが混在した状況の中で、入国警備官たちはそれぞれの違反事実を一つ一つ明らかにする作業に取り掛かっていた。
旅券や外国人登録証明書によって、身分事項と違反事実が特定できる者は徐々に振り分けられて行き、何も持っていない女たちだけが質問書と名付けてい
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2008/04/30 13:56 |
桜の散る頃までには、何らかの
結論や結果が出るのではないかという予想は、悉く裏切られた。
桜はすっかり散り落ちてしまった。そんな今日だ。もう少しかかるんじゃないかと思っていた資格変更申請の通知葉書きが来た。
内容を確認してみたが、予定していたとおりの許可内容だと思われる。いや、予定していた以上の結果ともいえるかもしれない。
三月末の申請だったから、四月も半ばまで過ぎないと駄目かなと思っていた。いや、けっこうやるもんですな。
この調子で、結論・結果を待っている案件が、思い通りの結末を持って、次々と解決して行くと
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2008/04/11 13:15 |
六 内偵調査(8)
集合場所の警察署が近いこともあって、九鬼たちは徒歩で摘発先にやってきていた。車両を回して搬送するにしても、四人なら一回で済むが、十二人となると三回に分けて搬送しなければならない。九鬼の決断は早かった。
「いや、八人は身分事項を控えるだけでいい。不明の四人を乗せる車両を要請してくれ」
大林にそう命じた九鬼は、ひとり店の入り口に向かうと、そっと階段を降りていった。
「はい、そうです。一斑の摘発先です。身柄四名、違反事実等は不明です。署まで搬送したいので、ワゴン車を一台回してください」
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2008/03/25 10:17 |
六 内偵調査(7)
「東京入国管理局です」
薄暗い店舗の中に、九鬼の低い声が轟いていた。どかどかと一斉に立ち入ってきた入国警備官を見て、それまで嬌声が絶えなかった店内に、奇妙な静寂が訪れた。
このように一気に店内に侵入し、動く間もなく大声で制圧するのが、九鬼のいつものやり方だった。
店内に散った入国警備官は、前もって担当を決めていたボックス席のホステスたちを、一箇所に集め始める。
各自が一人一人の身分事項を確認しては、違反が疑われる者と違反を問えない者とに振り分けて、それぞれまとめて座らせる。
「
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2008/03/12 15:12 |
六 内偵調査(6)
「大林さん、どうして俺があの人と一緒に行くことになったんですか」
子供のように尖らせた口で、小山は初めての内偵調査の相方に不満を漏らしていた。
「どうしてって、畏れ多くも課長補佐で在らせられる」
「だからどうして俺には補佐が付いてくるんですか。俺が補佐に嫌われているのは、大林さんも知っているじゃないですか」
『だからなんだけどなあ』という言葉を胸にしまったまま、大林は九鬼に言われたままに答えることにした。
「課長補佐と一緒に行くと言う奴が、どこにもいないんだよ。お前ならきっと大戸さ
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2008/02/27 08:00 |
仮放免が許可されました(永住者の退去強制について)
退去強制令書発付処分の取り消しを求めて訴訟中の事件で、牛久に収容されていた原告の女性の仮放免が、2月7日に許可された。
俺の知る限りでは、三度目の申請だったはずだ。三回目の申請と言うのは、仮放免許可申請に限らず、その他の許可申請についても、色々言われて不許可や不交付であったものが、許可されるタイミングでもある。
仮放免を許可されると言うのは、行政訴訟の行く末(判決の内容)にも影響を与えるものだし、少なくとも入管側が収容を継続する意味を持たなくなったと言うことを表明しているものだと受け取
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2008/02/09 13:28 |
続 東京地裁へいらっしゃいませんかの続報
過日行われた公判でのこと。本人尋問と夫の証人尋問をやることになった。しかも4月以降にずれ込むことに。本人尋問はこちらが希望してのもの。裁判官自らが、原告のタイ人女性を見ることは、これは第一審でも勝訴判決が出るかもしれないなと、そう思っている。
事実認定にかなり危ういものがあるので、いずれかの場面で、和解案を裁判所が提示するか、入管側が折れてくるかと思っていたが、もうすっかり弁護士は、判決をもらうつもりになっている。(もちろん原告勝訴の判決だ)
今後も公判の予定は、随時お知らせしますので
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2008/02/01 11:30 |
続 東京地裁へいらっしゃいませんか(「永住者の退去強制」)
以前、お話した「永住者」で日本人の子供がいる女性の退去強制令書取り消し訴訟の第二回公判が、
1月23日(水) 13時30分から 東京地裁712号法廷
で行われます。
俺の感触では、もう一・二回で終わるような気もするが、そうなると控訴を考えなければならなくなるのかな、そう思っています。
できれば、陳述書ではなくて、本人尋問を行ってもらいたいのだが・・・
お時間がある方は、是非、いらしてみて下さい。もし、俺に気付かれましたら、気軽に声を掛けてください。
行政訴訟がど
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2008/01/16 08:47 |
恭賀新年
もともと年賀状を出さなかった俺だが、今年はついに一枚も用意しなかった。
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2008/01/01 09:26 |
マル特と出国命令制度の空白
出頭申告した不法残留者について、収容手続きを執らないで、出国させるマル特手続きとそれとほぼ同じ意味合いを持つ出国命令制度の間に、空白の期間があることはご存知だろうか。
俺は不勉強で、先日、初めてそれを知った。
退去強制された者の上陸拒否期間は、長期、短期と言って、ずっと昔には、永久拒否とされるものと、一年拒否とされる者との二種類であったのが、200年(平成12年)2月18日、一般の退去強制者の上陸拒否期間が五年に伸長なったときから、いわゆるマル特手続きを執った者についても五年拒否とされ
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2007/12/25 10:10 |
謎が解けました!!
アマゾンから12月12日発売予定とのメールが来ましたが、今日、出版社から届いた宣伝用のチラシによると、書店での予約注文の受付が12月20日から、アマゾン等のオンライン書店の受付は1月初旬からということでした。
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2007/12/12 11:21 |
聞いてないよ、12月12日発売だなんて!
アマゾンからメールが来た。「空白の記憶」が12月12日に発売されるから、予約するなら今だって。
出版社からそんなこと聞いてないよ、どうなってるの。早速問い合わせをしてみないと。
でも、アマゾンで予約注文ができるそうですから、取り敢えずブログに載せておきました。
右下の「空白の記憶」をクリックしてもらえれば、予約購入ができます。
では、よろしくお願いします。
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2007/12/10 16:44 |
お待たせしました。「空白の記憶」が出来上がりました。
これが新年早々に発売予定の『空白の記憶』です。奥付きには1月15日発行となっていますので、店頭に並ぶのはその前後かと思います。
販売価格は1,700円(税別)。書店でお求めになれますし、以前お知らせした浦和駅西口を県庁方面に向かった右手にある(自民党埼玉県連の向かい)喫茶店「サントス」にも置かせてもらうことになりそうです。
発売と同時に売り切れになって、すぐさま増刷になることを夢見ています。(笑)
では、『空白の記憶』をよろしくお願いします。
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2007/12/03 13:43 |
六 内偵調査(5)
そこに不法入国した者がいるのか、不法残留した者がいるのか、それとも不法就労している者がいるのかを、確認してきちんと証明しなければ強制調査ができない。
任意調査という方法が基本なのだが、悪質な法違反を摘発するという目的のためには、裁判所の許可状に基づく強制調査に勝るものはない。
あやふやな情報の中から、内偵調査や張り込みによってより確度の高いものを選別し、摘発先の選定をする。
東京都内だけでも何万店とある飲食店舗の全ての情報を収集するのは容易なことではなく、それが役所に居乍らにしても
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2007/11/29 08:13 |
六 内偵調査(4)
「小山を内査に行かせようと思うのだが、お前は誰と組ませたらいいと思う」
「集中月間の内偵調査ですか。小山にはまだ早いと思いますが・・・」
「昇任試験には受からないが、あいつももう五年目のシーズンに入っている。そろそろ独り立ちしてもらわないとな。小山の自主性を認めてやれるような者で、しっかりした者を付けたいのだが」
飲食店舗の摘発には、内偵調査が欠かせない。毎日のように手紙や電話で寄せられる外国人がホステスとして、または売春をしていると言った内容で寄せられる情報には、不確かな内容のものが少
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2007/11/19 09:13 |
東京地裁にいらっしゃいませんか(「永住者」に対する退去強制令書発付取り消し訴訟)
日本籍の子供を有し、「永住者」として在留していた者が、刑罰法令に違反し、退去強制令書が発付された。
刑事裁判が終わり、身柄が入管に引き渡された後も、関係者の誰もが違反調査、違反審査、口頭審理、そして異議の申し出による法務大臣の裁決によって、在留特別許可されると思っていた。
当初は、口頭審理の段階で弁護士をつけることにしていたのだが、ことを安易に考えたのか、直前になって、弁護士を解任してしまった。
裁決結果は予想に反して、強制退去という結論だった。
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2007/11/13 14:13 |
「在留特別許可」について考える
在留特別許可に関する法務大臣の裁量権について
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2007/11/09 13:04 |
六 内偵調査(3)
一枚の紙が九鬼の机の上に広げられていた。そこに地区別に書きこまれた飲食店舗の名前の横に、九鬼は警備官の名前を書いては消していた。
「大林はいるか、大林」
九鬼は大きな声を張り上げると、部屋中に響けとばかりに、大林警守長を呼んだ。
総務課のお下がりのコピー機は、その時も紙詰まりを起こして、大林を汗だくにしていた。
「何ですか、班長。傍にいるんですから、そんなに大きな声を出さないでください」
自然と大林の返事も鋭くなっている。
「あ、うん。見えなかったからな」
九鬼は目の前に
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2007/11/08 15:34 |
六 内偵調査(2)
高校時代、優等生として通っていた小山は、成人した後でも、どうしても外せない付き合いの酒席には出るが、その流れから二次会に誘われても、殆ど参加することはなかった。
そんな小山を女性に興味がない変わり者だと見る者もいて、同性愛者ではないかとまで言う者もいた。だが小山はそんな周囲の声に、否定するでもなくまた肯定するでもなく、無関心を装って相手にしていない様子だった。
もちろん小山は年齢相応に成長を遂げており、女性に対する興味自体はあったのだが、自分から進んで風俗関係の飲食店舗に遊びに行こうと
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2007/11/02 15:24 |