過去の退去強制事実が今になって露見した事案(10)

 その場で一番驚いたのはバイオ審査を実施した入国審査官だったかも知れない。
 バイオ審査に供するデータベースに入力されている過去の被退去強制者のデータは入力作業の遅れから、その全てが入力されている訳ではなく、今回のように指紋から発見されることは稀なことであったからだ。
 また、担当した入国審査官も過去の被退去強制者を発見することは初めてのことだったので、余計に驚き興奮したのかも知れない。
 取り敢えず上陸審査の列から外れてもらい、口頭審理事務室に移動させることにした。
 その措置に入管は悩むことになる。退去強制されて一年後に認定証明書を交付され入国したもので、当時、上陸拒否期間内であるから、九年前の上陸許可は錯誤に基づくもので、撤回や取り消しの対象となるものだ。
 だが、当日、どのように措置するのかという結論が出ず、後日、呼び出しがあるからその時は出頭するようにとの指示があったが、取り敢えず再入国許可に基づく上陸が許可された。
 これが九年前に判明していたものであれば、迷うことなく上陸防止措置を取って、退去命令で送り帰すという手続きとなっただろう。
 だが、不正に入国してから九年の月日が過ぎ、その間に在留資格の変更や更新が為されており、現段階では上陸拒否期間の五年は既に過ぎ去っている。
 どう措置すれば入管は当日中に結論が出せなかったものと考えられる。そこで取り敢えずの措置として再入国を認めたのだろう。

 続く

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