十五 強制送還(14)

 午後遅くになっていた。警察から今回摘発した中国人グループの身柄が移送されて到着した。
 日本人の戸籍を利用し、成り済まそうとした者たちは、数人を除いて全て摘発していた。
 検察は主犯格のホアホアを始めとする全員の起訴を考えたが、その手続の膨大な事務量を思うと、刑事手続を執る者を絞り込むこととした。
 それも戸籍を利用するために殺害されたと思われる日本人の殺人事件については、主たる実行犯とされる中国人劉真栄の所在が不明であり、加担した日本人の稲川もその行方が掴めないでいることから、立件することが叶わず送致されなかった。
 全て執行猶予付きの有罪判決だった。結局、外国人の犯罪者は強制送還すれば一件落着となるので、国費を掛けてまで裁判をする必要があるのかという議論もあったが、執行猶予付きであっても一年を超える有罪判決を受けた外国人は、再び日本への入国が認められないこととなるので、九鬼たち入国警備官にとっては、重要かつ必要な手続きなのだった。

 続く

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