十五 強制送還(15)

 強制送還される理由については、他人名義の旅券等を行使して入国したりした不法入国容疑、許された在留期間を超えて在留している不法残留容疑、就労が認められていない在留資格のまま不法就労した資格外活動容疑が殆どの送還理由となるが、今回摘発した中国人グループについては、薬物犯罪や殺人、日本人になりすましたり、生活保護費の不正受給、正規の手続きを経ないでの海外送金に関係しているなど、数多の犯罪に関与している疑いは拭えなかったが、それらの事件の立件はなされなかった。
「結局、強制送還すればそれで善しとされてしまうんだな」
 それまで効率的な摘発を命じられていた花村たちが、非効率な事件処理であろうとも、どうしても摘発しなければならないと考えて追い続けてきた事件の結末にしては、あまりに呆気無くお粗末な印象が残っていた。
 摘発・収容して、強制的に違反調査する権限を持っている入国警備官の刑事犯罪人に対する限界を、花村たちは思い知らされていた。

 続く

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