偽装結婚について考える(12)

 エレベーターを降りた俺達は、部屋の前で配置に着いた。配置と言っても閉鎖された空間への打ち込みだから、裏口を抑える必要もなく玄関先に散開しただけだったが、それでも確認しなければならないことも多々ある。
 不在ではしょうがないので、最初に在宅しているのを確認しなければならない。
 在宅しているのを確認するには、電話等で在宅しているように伝えることが一番簡単だが、摘発だからそれはできない。
 俺はマンションの各部屋に付いている積算電力計を見た。円盤の回転の様子から在宅しているのは間違いなかった。
 次にノックや呼び鈴を押して呼び出すのだが、万が一を考えてそっとドアを開けてみる。ドアには鍵がかかっているので、預かった合鍵を使ってそっとドアノブを回してみると、チェーンロックはかかっていなかった。
 閉じこもられることを想定しての準備だ。
 再度、カギをかけると呼び鈴を押した。中で人が動く気配がした。
 呼び鈴を押すとともに、「東京入管だ。***さんいますね、開けて下さい」と声をかけた。
 室内の人の動きが止まった。閉じこもるなと思った俺は、そっと鍵を開けると、女性の入国警備官を従えて室内に入った。

 続く

 

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